電子機器の高機能化、複雑化に伴い、コネクタがつなぐべき電気信号の情報量は時代と共にどんどん大きくなっています。すなわち電気信号の周波数が増大してきているわけで、それに伴って電気信号の“長さ”波長と呼ばれるものがどんどん短くなっています。
この意味するところはより小さな、あるいは短い伝送路から信号の受ける影響が大きくなったということです。
結果として、かつてKm単位の電話線の伝送で起こっていたのと同じような問題が、平成にはm単位に、令和の現在ではmmのオーダで発生するようになってきていますつまり、これまでは基板のトレース、電線やケーブルに注意を払っていた様に、コネクタの様なより小さな部品にもより細やかな配慮が必要になってきました。
ここでコネクタというのは「機構」を有しているため、電線や基板のトレースに比べてより複雑な構造になります。
先ほど説明させていただいたフローティングコネクタなどは特に複雑な構造を持たざるを得ません。
高速電気信号は線路となる特に金属部がシンプルな構造の方が高性能化しやすいのです。
よって、この様に複雑な構造を持ちながらも、いかに高速伝送に耐えうる性能を実現するかというところが技術力の表れとなるのです。
この様な信号伝送の高速化を背景に、およそ20年前あたりからシグナルインテグリティ、信号の完全性を担保しようという考え方が広がってきました。
そのシグナルインテグリティという考え方の中に置いて、コネクタというのは一部のバジェットをいただいて接続するという機能を実現するものです。
図のようにドライバの出口からレシーバに至るまでの間に、シグナルインテグリティを考慮する上での様々な要因があります。
その一つとしてコネクタの性能がありますので、規格等で明確にバジェット分けがされていないケースではコネクタ単独の性能で一義的に対応伝送速度を決めるのは厳密ではありません。
とはいえ、お客様にとって「目安」があった方が選びやすいのは間違いないだろうということで、当社としてはフェアであるために自社定義をその技術的背景と共に公開することで各コネクタの対応データレートを付けています。
基板対基板コネクタとFPC/FFCコネクタから、この取り組みを始めています。
この様な取り組みをするには、もちろん高速伝送に対応した製品たちが必要です。
それらを生み出すためには評価・解析・シミュレーションと言ったノウハウが重要となってきます。
イリソ電子工業では周波数ドメイン、タイムドメインの各種パラメータ評価や、近似界測定、ビット誤り率の測定に加え、電磁界および回路シミュレーション等、それと対をなす機構・機械面の評価シミュレーションも充実させています。
その様な実評価とシミュレーションを組み合わせまして、またお客様からこれまでいただいたフィードバックを蓄積して、高速伝送対応品開発の土台としています。
当社の高速伝送に関する取り組み、製品はこちらをご覧ください。