その名のとおり、基板と基板をつなぐコネクタです。BtoB(ビートゥービー)、ボードツーボードコネクタ等とも呼ばれます。基板に立てるピン(ピンヘッダーと呼ばれるもの)と、それを差し込むソケットからはじまりました。そこからさまざまな用途やサイズ的な要求を受けて、いろいろな形の基板対基板コネクタが登場してきました。電線やFPC/FFCを介して接続するケースに比べて、すっきりコンパクトな接続になります。
コネクタ同士を嵌合する場合、原則としてオスとメス=プラグとソケットというものがあり、それぞれ基板への実装と嵌合の関係で、ストレートタイプ(以下、STタイプ)とライトアングルタイプ(以下、RAタイプ)が存在します。基板対基板コネクタではこれらの組み合わせによって3種の接続形態をもちます。
プラグ、ソケットともにSTタイプを使用することで、基板同士を平行に接続します。
いずれかの基板が子基板となるような場合は、二階建てに見立ててメザニン接続等とも呼ばれます。そのため平行接続用のコネクタも、メザニンコネクタとも呼ばれます。
プラグとソケットそれぞれの高さを選択することで、基板間距離の調整を行います。接続形態の中では最も主流で、当社としても一番バリエーションの多いタイプになります。
プラグ、ソケットのいずれかにRAタイプを用いることで、基板同士を垂直に接続します。
プラグ、ソケットの双方にRAタイプを用いることで、基板同士を水平に接続します。
それぞれの接続形態ごとのイリソ品の製品ラインアップは、こちらからご確認いただけます。
基板対基板コネクタを介しての基板同士の接続は、その位置関係が固定される点が電線やFPCを介しての接続と大きく異なります。最終的な機器の組み立て時等にはメリットになることも多いのですが、ある局面では問題が生じます。
たとえば基板間接続に複数のコネクタが使われる場合、もしくは筐体への組付け時に強要される基板間の位置による影響がある場合、実装の精度によっては組み立てが難しくなったり、組み立てた後も実装部(はんだ付け部)等に応力が残ってしまったりといった問題が生じます。最終的にはクリープ応力によって、はんだ付け部へのクラックが生じる等、機能保証ができなくなるリスクが生じます。
こういった問題を避けるために、バネをもたせて、いわば「遊び」を設けたものが「フローティング」という機能になります。この機能で基板間のズレを吸収し、基板との接続部へのストレスを緩和します。同時に、コネクタのハウジング部へ誘い込みと呼ばれるテーパを設けることで、組立性も大きく改善させることが可能になります。当社は、業界最大級のフローティングコネクタのバリエーションを取りそろえていると自負しています。
一方で、フローティングコネクタの課題はサイズ感です。いかに小さい空間でできるだけ大きなフローティング機能をもたせるかが技術の見せ所になるのですが、フローティング機能のない固定/リジッドと呼ばれるコネクタの方が小さくでき、コスト的にも構造がシンプルにできる分優位でもあります。お客様の用途、使用環境に応じて使い分けていただくことが、最適な選択です。
たとえば、基板対基板コネクタを2個使う場合は、どちらか片方は固定のまま、もう一方をフローティングにすること等が、ご検討いただける選択肢です。当社の貴社担当営業に相談いただくか、web経由でお問合せいただけましたらお客様のニーズに最適となるように、ご提案をさせていただきます。
Z-Moveは、フローティングコネクタのテクノロジーを一歩押しすすめた当社独自の技術で、嵌合方向にもフローティングすることを特徴としています。従来の基板に平行した平面的なフローティングをX軸/Y軸と見立てると、この立体的フローティングは嵌合方向がZ軸になることからZ-Moveと名付けました。
先程ご説明したとおり、フローティングの命題は「ズレの吸収」でした。一方で、嵌合方向には有効嵌合長があり、これを長くとることによってフローティングしていなくともズレは吸収することができます。すなわちZ-Moveが解決しようとしている課題は「固定されたズレ」ではないのです。
機器が振動下にある場合、コネクタによって接続された2枚の基板はどうなるのか考えてみます。特にいずれかの基板での共振現象が発生していた場合、必ずしもそれぞれの基板の振動への影響は一致しません。よって基板の相互位置関係、つまりそれぞれの基板へ実装されたオスとメスのコネクタの位置関係は微小ではあってもある周波数で変化をします。その際、コネクタの端子の接点部はこすり合わすような挙動をすることになります。このとき問題となるのが、微摺動摩耗による接点部の腐食=マイクロフレッティングコロージョンという現象です。これによって健全な電気接続を維持できなくなるリスクが生じます。
一方Z-Moveテクノロジーを有したコネクタでは、嵌合方向のフローティングにより端子の接点部が各基板の振動の差異を吸収し、基板間の距離が変わっても追従することで微摺動摩耗が発生しません。Z-Moveは耐振動特性に優れたソリューションなのです。
繰り返しとなりますが、懸念すべき振動下に置かれない機器等で基板間距離のズレの吸収をするためには、適切な有効嵌合長をもった通常のフローティングコネクタをご選択いただければ十分です。もちろんZ-Moveでも良いのですが、嵌合方向のフローティングを実現するために端子構造が複雑となっているため、コスト/サイズ面で不利が生じる場合もございます。当社の貴社担当営業に相談いただくか、web経由でお問合せいただけましたらお客様のニーズに最適となるように、ご提案をさせていただきます。
Z-Moveの特集ページも是非ご覧ください。
当社ではお客様の様々なニーズにお応えするため、幅広いバリエーションの基板対基板コネクタをご用意しています。ホームページでは、目的別にいくつかの検索方法をご用意していますので、ぜひご活用ください。
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