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2022年3月期 社長インタビューINTERVIEW WITH THE PRESIDENT IN MARCH 2022

環境変化に打ち勝つ経営基盤の構築を全社挙げて
推進していきます

2022年3月期 社長インタビュー

Q: 2022年3月期を振り返り、営業状況を総括願います。

鈴木:
前期の落ち込みから回復。車載市場・インダストリアル市場を中心に売上高を拡大しました。

当期の営業状況は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた前期の落ち込みから回復を遂げ、また為替が円安に推移したことも寄与し、車載市場およびインダストリアル市場を中心に過去最高の売上高を確保しました。利益面においても、操業度の向上と原価低減・固定費削減努力により大幅な改善を果たしましたが、第2四半期以降は半導体など部品の供給が逼迫し、原材料価格や輸送費の高騰、サプライチェーンの混乱などの影響が拡がったことから、利益水準は当初の計画を下回りました。

主力の車載市場は、パワートレイン分野の好調が続き、日本国内および中華・韓国圏における売上の伸びを牽引しました。インフォテインメント分野、セーフティ分野も回復に向かいました。パワートレイン分野の売上高は、前期比で約9割増加し、電動車向けの旺盛な需要を示しています。当社独自のパワートレイン機器向け耐振ソリューションサービスも奏功し、受注獲得に寄与しました。一方、半導体不足の影響により、当初の売上計画に対して約30億円のマイナスとなりました。

コンシューマー市場は、コロナ環境が続く中でゲーム機向け、在宅勤務用のOA機器向けが増加しました。第3四半期以降も半導体不足による影響を受けながらも、堅調に推移し、当初の売上計画を達成しました。インダストリアル市場は、年間を通して好調に推移し、前期比7割増の売上拡大を果たしました。特に中国における設備投資需要を受けてFA機器向けが増加した他、通信分野での5G基地局向けの新規搭載も寄与しました。

以上により連結業績は、売上高438億63百万円(前期比20.1%増)、営業利益45億20百万円(同55.9%増)、経常利益48億38百万円(同62.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益39億13百万円(同82.7%増)となりました。

Q: 中期経営計画について、今後の展開をお聞かせください。

鈴木:
環境の変化を受け、利益計画に遅れがありますが、今後2年間で経営基盤の再構築をしていきます。

当社は、2030年3月期に向け「売上高1,000億円」を目指す長期ビジョンを掲げ、この過程として、2022年3月期から2024年3月期までを期間とする3ヵ年中期経営計画を推進中です。本計画は、1年前の時点でコロナ禍による事業環境へのマイナス影響が想定を下回り、特に自動車市場が急回復を示したことを踏まえ、従前計画を見直し、2022年3月期より再始動したものです。実際に計画初年度は、前述の通りパワートレイン分野を中心とする車載市場が好調に推移し、売上を大きく伸ばしました。しかしここにきて、感染症の再拡大傾向や半導体の供給不足、原材料価格の高騰などが続き、ウクライナ情勢による地政学リスクも高まっていることから、計画の前提となる世界自動車生産台数予測を見直す必要が出てきました。当社の推定では今後、xEV(電動車)が堅調を維持する一方、xEV以外の低迷により、2022年度の世界生産台数は、2021年度とほぼ同水準の7,800万台と推定し、従前予測の9,200万台を大幅に下回ると見ています。

中期経営計画に生じる影響として、 計画2年目の2023年3月期は、売上高がパワートレイン分野の拡大と為替の円安により当初の計画値から上振れとなる見込みであるものの、営業利益率は当初計画比で操業度の低下、原材料・輸送費価格の高騰などのコスト増を見込み、計画未達となる見通しです。当社は、最終年度の2024年3月期においても、当初計画に対し世界自動車生産台数の減少、原材料・輸送費価格の高騰等、厳しい外部環境は継続するものと考え、コスト構造の改善、サプライチェーン・マネジメントの強化等、経営基盤の再構築を推進してまいります。

具体的には、価格政策の見直しや主力製品の原価低減、工場稼働率・生産性の向上、トータル物流費改革などを通じて、原材料価格・輸送費の高騰を凌駕するコスト競争力を確保していく考えです。同時に、生産体制の安定化や地産地消化の推進、ERPシステムの刷新など、サプライチェーン・マネジメントの強化を進めていきます。

Q: 2023年3月期の見通しはいかがですか?

鈴木:
売上高を拡大しつつ、収益構造の改善とサプライチェーン・マネジメントの強化を図ります。

2023年3月期は、ここに述べました要因により、利益面において中期経営計画を下回ると想定していますが、パワートレイン分野は引き続き売上伸長を牽引し、この分野の中期経営計画の最終年度目標を1年前倒しで達成する見込みです。当社は、車載市場におけるxEVの成長と、インダストリアル市場における産業機器および通信分野の高需要を確実に捉え、売上高を拡大しつつ、収益構造の改善とサプライチェーン・マネジメントの強化に努めてまいります。

なお2023年3月期の設備投資は、ERPシステムの刷新や秋田県に建設する新工場関連、金型製造子会社の生産拠点関連などの投資が増加し、過去最大の90億円となる予定です。

以上を前提として連結業績は、売上高515億円(当期比17.4%増)、営業利益61億60百万円(同36.3%増)、経常利益62億円(同28.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益45億円(同15.0%増)を予想しています。

Q: 株主の皆様へのメッセージをお願いします。

鈴木:
「あるべき姿」を実現し、企業価値を高め、より大きな社会貢献を果たします。

今回の期末配当は、配当性向30%以上の安定配当を維持する株主還元方針に則り、予定通り1株当たり60円(前期比10円増配)とさせていただきました。2023年3月期の期末配当は、同60円を予定しています。今後は、長期ビジョンに掲げる「ROE10%超」の実現に向けて、成長のための投資資金確保とのバランスを考慮しつつ、配当水準の向上や自己株式の取得などにより株主還元をさらに拡充すべく、資本政策を積極的に見直していく考えです。

当社は、中期経営計画の経営方針において「顧客第一 業界No.1」を打ち出し、長期ビジョンでは「接続部品業界順位 世界10位以内」を目標としています。私たちは、これらの「あるべき姿」を実現し、企業価値を高め、より大きな社会貢献を果たしてまいります。株主の皆様におかれましては、当社事業のさらなる発展にご期待いただき、これからも長期的なご支援を賜りますようお願い申し上げます。