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人的資本への取り組みHuman Resource Development

人的資本への取り組み

当社は、経営理念である「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」に基づき、全社員参加型経営と、お互いの人権と尊厳を大切にするインクルーシブな職場環境の醸成に務めております。

組織に多様な視点や経験を取り入れることでイノベーションが促進されるとともに、従業員の満足度や働きやすさを向上させ、人材の獲得やリテンションにもプラスの影響を与えると考えています。

ガバナンス

当社は、人財の育成及環境整備について以下のようにガバナンスしています。

  • ・組織の改編や重要人事、経営幹部並びにグローバル人財の育成、ダイバーシティ等の会社の持続的な成長に関わる人財戦略については、執行役員以上がメンバーとなる経営戦略会議での審議を経て実施されます。また、各部門の代表者から構成される安全衛生委員会が全社的なエンゲージメントの向上や健康経営の推進に努めています。
  • ・これらの施策については従業員主体で運営される「従業員代表委員会」からの意見や、各事業拠点への役員視察での現場での対話を踏まえて、より実効性のある形に見直しを行っております。

ガバナンス及びリスク管理体制図

方針、戦略

当社は、中期経営計画等において「車載のイリソ」から「モビリティのイリソ」への展開、車載市場に次ぐ第二の柱としてインダストリアル市場のグローバル強化、技術開発力・原価力・生産・投資効率の向上、品質の強化を推進しており、ベースアップ含めた競争力のある賃金体系への移行を進めると共に、社員のモチベーションを高め営業力・技術力・生産力の向上と、情報の可視化・共有化による組織力の強化を目指します。

また、必要な人員の確保(採用、定着、育成)を行うと同時に、グローバルで多様な価値観を持った人財が活躍できる組織体制と職場作り(ダイバーシティへの取り組み)、安全・安心な職場環境の整備も重要であると認識しています。

①人財育成方針、戦略

女性、外国人、経験者採用者だけでなく、技術職、事務職等、様々な背景や価値観を持った社員が各々の特性に合わせ、充分に力を発揮できるよう、自律的なキャリア形成の支援と環境整備に努めております。
具体的には、次のとおりの人財育成を行っております。

  • ・中堅社員、リーダークラス、新任管理職等の階層別にその段階に応じた研修
  • ・それぞれの社員が業務を遂行する上で必要なスキル習得のための研修
  • ・多様性の尊重、ハラスメント防止等の基礎知識向上を目的とした全社員向け研修

②社内環境整備方針、戦略

育児・介護、そのほかの様々なライフイベントが発生する際等でも仕事と両立できるよう支援制度を整えることで、すべての社員が継続して働きやすい職場となるよう環境整備を進めております。従業員の自律的な働き方を支援することは、生産性の向上やエンゲージメントの向上に寄与すると考えております。
具体的には、次のとおりの環境整備をしています。

  • ・在宅勤務制度、フレキシブルタイム制度の導入
  • ・育児・介護、ボランティア活動等に利用できる失効有給休暇の積立制度の導入
  • ・子の看護休暇の有給化

③ダイバーシティに関する方針、戦略

当社は、多様な一人ひとりの個性を尊重し、その特徴を活かすことこそが豊かな価値を生み出し、それが企業の成長につながると考えております。中長期的な企業価値を向上させていくうえで、能力発揮度合いに基づく公正な評価を踏まえた登用・処遇を行い、女性、外国人、経験者採用者に限らず、多様な個性、特徴、多様な経験をもつ人財育成を行うことを心掛けております。

④ 安全に関する方針、戦略

当社は「安全はすべてに優先する」という言葉のもと、当社で働くすべての人々が、より豊かに、平和に、文化的な生活を維持するために、負傷・疾病を防止し、安全で健康的な労働条件を提供することを第一に優先し、すべての人々が生き生きと働ける明るい快適な職場環境づくりを、全員が参加し、アイデアを自由に出し合うオープンな協議により進めることを労働安全衛生方針としております。

⑤ 賃金体系、昇格・昇給体系の改善

当社は、2024年3月末現在、3,037名の社員を有しており、国内589名、海外2,228名と約80%が海外人財で構成されております。国内の賃金格差状況は、全社平均でみると女性社員の年収は男性社員の70%程度となりますが、これは主に従事する業務による違いに起因します。同一等級での平均年収を比較すると、管理職での賃金格差はなく、非管理職では時間外労働の違いにより約10%の賃金格差が生じています。

(男女間賃金格差)(2023年度)

男性を100とした場合の女性の賃金(%)
全ての従業員 68.3
– 正社員 71.1
– 管理職 93.6
– 非管理職 89.4

多様な社員の活躍が当社成長の重要な一要素であることを認識し、ジェンダーギャップの解消とワークライブバランスの確保を積極的に推進しております。2023年度では、以下の施策を実施致しました。

  • ・賃金制度の改定や昇格制度の運用改訂により、若年層を積極的に管理職へ抜擢することで、社内活性化及び男女間賃金格差の是正を図っており、管理職ポストへの女性登用の増加を目指します。

リスク管理

当社が今後事業を継続、発展させていく上で、人財の確保・育成が重要であり、必要な人財の確保、社員の成長のための人財育成、社員個々人の能力発揮による組織の活性化が不可欠であると考えています。必要とする人財採用が困難となること、社員の離職や健康状態の悪化により人財育成が進まなくなること、社内環境の多様性が損なわれることにより個々人の能力発揮が阻害されることがリスクであり、社員に対し、安全で健康的な労働条件の提供及び、多様性のある社内環境を整備することでリスク低減に努めています。

  • ・当社の人的資本リスクは経営戦略会議において識別・評価・管理しています。
  • ・各部門、各事業拠点からの報告は安全衛生委員会や従業員代表委員会にて担当部門を交えて協議され、対策の要否や優先順位を考慮したうえで経営戦略会議に報告されます。
  • ・審議の結果、重大な影響の恐れがある事案及び対応は、取締役会に報告・付議し決定します。
  • ・人事部門、安全衛生委員会は、経営戦略会議ならびに取締役会の指示・指導に基づき、リスク低減計画を立案、遂行します。
  • ・なお、当社はISO45001に基づく労働安全衛生マネジメントシステムを構築しており、人的資本リスク管理の中には当該マネジメントシステムに基づく法令遵守等のリスクモニタリングも組み込まれています。

指標及び目標

中期経営計画等で掲げている車載市場以外の第二の柱の確立、技術開発力の強化、生産力・コスト力・品質力の向上を図るため、必要な人財の確保と育成を目指しており、現在、新卒・中途採用ともに技術系人財の採用強化、金型製作会社のM&A、海外拠点を含む専門人財の採用を強化しています。また、給与水準の段階的な引上げにも取り組んでいます。
ダイバーシティの観点では、当社グループでは管理職に占める女性の割合は27.2%ですが、当社単体では2.6%に留まっており、課題として認識しています。このダイバーシティの課題と、社内環境に関する課題の解決に向け、下表の通り当社単体の指標・目標を設定し、取り組んでまいります。

課題 解決に向けた取り組み 指標・目標 2023年度実績
グローバルで多様な価値観を持った人財が活躍できる職場作り
  • ・新卒での女性採用強化
  • ・新卒採用に占める女性比率:2025年 30%
  • ・新卒採用に占める女性比率:14.3%
  • ・女性育成強化
  • ・人事制度・評価制度改定による若年層の管理職への積極登用
  • ・女性管理職比率:2030年 5%
  • ・女性管理職比率:2.6%
  • ・海外拠点での外国人の重要ポジション登用による育成
  • ・本社外国人役員比率 :2025年 10%
    ※執行役員含む
  • ・本社外国人役員比率:5.9%
  • ・海外法人代表者の現地化率:41.7%
  • ・本社役員の経験者採用比率:76.5%
経営方針「顧客第一、業界No.1」を追求し、長期ビジョン売上1,000億円の実現とその先を見据えた組織体制作り
  • ・次世代経営者候補の充足
  • ・キャリアアップのための研修(リーダー研修、階層別研修)の実施
  • ・グループ全体での人財の可視化
  • ・1年間にキャリアアップのための研修を受講した正社員の割合:2025年 35%(3年に1回受講)
  • ・1年間にキャリアアップのための研修を受講した正社員の割合: 30.5%(3.3年に1回受講)
  • ・離職防止による長期的な人材育成と組織体制作り
  • ・正社員離職率:5%未満維持
  • ・正社員離職率:5.3%
  • ・コンプライアンス意識の徹底
    eラーニング、弁護士による研修の実施
  • ・コンプライアンス研修受講率: 100%
  • ・コンプライアンス研修受講率:89.9%
安全・安心な職場環境作り
  • ・安全衛生委員会主導での安全情報を各拠点へ展開し労働災害をなくす
  • ・労働災害度数率:0
  • ・労働災害度数率:0.88
  • ・ISO45001国際規格取得
  • ・国内/海外全工場IS045001取得率:100%
  • ・国内/海外全工場ISO45001取得率:87.5%
  • ・健康経営施策の推進
  • ・多様な働き方を認める制度の確立
  • ・自動化、設計、設備の標準化、AIなどの活用による業務負荷軽減
  • ・子の看護休暇取得率:2025年 80%
  • ・在宅勤務率:2025年 30%
  • ・ストレスチェック偏差値:2030年 55(評価B)
  • ・子の看護休暇取得率:58.2%
  • ・在宅勤務率: 18.9%
  • ・ストレスチェック偏差値:47.0(評価C)

ダイバーシティの確保の目標

①女性社員

当社は製造業であり、かつ男性割合の高い理系職種中心に採用を行っていることもありますが、未だ充分であると捉えず、女性でも働きやすい環境を整え、働いている社員の中から女性管理職・役員を希望する人材を増やすべく、次のとおりの目標を設定しました。

  • ・本社(国内)新卒採用に占める女性比率 :目標 2025年 30%
  • ・本社(国内)女性管理職・役員数 :目標 2030年 5%

②外国人社員

当社は、グループ全体では既に外国人の割合の方が高く、各海外拠点においても非日本人が中核人財として活躍していますが、日本本社としても多様な価値観を取り入れるべく、当社グループの海外拠点の人材育成と登用による執行役員を含む本社外国人役員比率向上を目指し、次のとおりの目標を設定しました。

  • ・執行役員を含む本社外国人役員比率 :目標 2025年 10%

③経験者採用社員

事業拡大に伴う人材補充施策として即戦力としての期待等から、毎年一定数の経験者採用を実施してきており、その発揮能力に応じて組織責任者等への登用を積極的に行ってきたことにより、管理職に占める経験者採用者比率は既に65%を超える水準となっております。なお、当社方針としては、管理職に占める経験者採用社員比率の目標値は少なくとも半数を占めていれば良いと考えており、現状問題ないと把握しております。
今後につきましては、これまで同様にそれぞれの社員の持つ特徴を踏まえつつ、新卒採用者と経験者採用者のバランスをとりながら人材を登用していきます。

人的資本や知的財産への投資

当社のサステナビリティに必要な人的資本や知的財産を拡充するため、下記のような取り組みを行っております。

  • ・語学や品質等監査員等の資格や免許取得者に対する奨励金の支給等
  • ・海外現地法人で採用した将来の幹部候補生を本社に派遣し、技能や組織運営を学ぶ社内留学
  • ・技術開発や共同研究を目的とした大学等の研究機関に対するエンジニア派遣
  • ・特許出願・登録に対する報奨制度等、人財開発や技術開発への投資