その名のとおり、FPC/FFCを接続する目的で作られたコネクタです。嵌合部を端末に配したFPC/FFCと接続します。このコネクタ嵌合用のFPC/FFCのことをカードと呼称することもあります。
ピッチは2.0mm程度で始まったものが、徐々に小さいものが主流となり、現在は0.5mmピッチが最も使われています。また通常は1列に端子が並びますが、より小さいピッチのものを中心に、接続を千鳥上に配したものもあります。
当社では、ほとんど力を加えずにFPC/FFCをロック可能なZIFコネクタ、軽いカで挿入可能なNON-ZIFコネクタの2種類ご用意しております。
ZIFとはZero Insertion Forceの略で、挿入力がゼロ、すなわちFPC/FFCをコネクタに嵌合させるときに力がかからないコネクタを指します。一方で、コネクタとカードの嵌合部では端子は接圧をもつ必要があり、またカードの保持も必要となります。
ZIFコネクタではそのためのロック機構を有します。主として3種のロック機構があり、スライダータイプ、フロントフリップタイプ、バックフリップタイプと呼ばれます。
カードをコネクタへ挿入した後で、スライダーという部品を押し込むことで端子ごとカードを押さえつけ、接圧とカード保持を維持した状態でロックする機構をもちます。3種類のロック方式の中で最も初期から使用されています。高いカード保持力をもつ一方で、サイズ面や作業性に不利があります。
スライダータイプから、作業性とサイズ的不利を改善したタイプです。カード側へ倒れるカバーを占めることで、カードを押さえつける機構をもちます。前述のとおりサイズや作業性で優位性があり、現在ではスライダータイプより多く使われるようになってきています。一方で、カードを上側にあおった時に保持力等に課題があり、強い保持力を求められる場合は敬遠されることもあります。
カード挿入側から見て後方にあるレバーを倒すタイプです。フロントフリップタイプに比べてカードのあおりに強く、保持力も向上する傾向にあります。
一方で、奥行方向にコネクタサイズが大きくなりがちであったり、端末が隠れるためSMT実装部の検査に不利であったり、実装部をロングテイルにする等の追加施策が必要となったりするケースもあります。
図はスライダータイプとの複合例で、カードの樹脂部に切り欠きを付け、その部位をバネ上の保持端子を乗り越えさせることで仮保持機能をもたせたものです。
これは不完全嵌合を避けるため、ラッチ感といってカードを正しい位置へ挿入したことを知覚させ、それをロックをかけるまで確実に維持するための機構です。位置決めに関してはカードの両脇に凸部となる耳を付けて、コネクタ本体の樹脂部品にへこみを設けそこにはめ込むという仕様もあります。
ZIFではない、すなわちカードをコネクタに嵌合するときに力(挿入力)が必要なコネクタです。挿入力の比較的低いものを中心に、LIF(Low Insertion Force)と呼ばれるものも含みます。
このタイプはZIFコネクタで説明したようなロック機構をもたず、その代わり初期から端子が接圧を持つように配置されており、それによってカードの保持も兼ねるシンプルなコネクタです。そのため、作業性やサイズ面で優位でコストも抑えやすい品種です。
一方で、特に小極(少ない極数)時に保持力が弱くなったり、反対に多極化すると高い挿入力が必要で無理がきたり等の不利があります。
前述のZIFコネクタのオプション機構であったI-Lockをさらに発展させ、Non-ZIF構造との組み合わせで実現した全く新しいコンセプトの製品です。Non-ZIFコネクタのメリットであった作業性の良さを残しながら、カードの保持と完全挿入知覚を実現したコネクタで、各種自動化の対応はもちろん手作業への親和性も高く、不完全挿入によるトラブル等を激減させます。
各FPC/FFCコネクタの特徴、優位点・不利点をまとめます。
タイプ | 作業性 | カード挿入力 | カード保持力 | サイズ・コスト | ||
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ZIF | スライダ |
2アクション 両手での作業要※1 ロックが重い |
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大きくなりやすく、 Non-ZIFより高い |
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フロント フリップ |
2アクション 両手での作業要※1 |
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ZIFとしては小型化・ 低コスト化しやすい |
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バック フリップ |
2アクション 両手での作業要※1 |
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奥行方向に長くなりやすく※2 Non-ZIFより高い |
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Non-ZIF |
1アクションだが、正しく 嵌合したかわかりづらい |
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コスト・サイズ共に 有利 |
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Auto I-Lock |
1アクションかつ自動ロック 手動・自動組立共によい |
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やや大きく、 コストも高め |
※1 I-Lockで改善可
※2 SMTの視覚検査はロングテイル化要
上記は一般的な目安としての傾向であり詳細仕様により、実際は詳細仕様に依存します。また、それぞれお客さまで使用される環境毎に、持ち味が異なるほか、必要な極数、温度、電気定格毎にご選択いただく必要がございます。
お客様のご要望に合わせてご提案をさせて頂きます。弊社営業員にお問い合わせいただくか、お問い合わせフォームよりご連絡下さい。
当社のFPC/FFCコネクタ各タイプの代表的なものをご紹介します。製品一覧はこちらをご参照ください。