コネクタメーカー イリソ電子工業

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株主・投資家の皆様へTO SHAREHOLDERS AND INVESTORS

株主・投資家の皆様へ

株主・投資家の皆様には、平素から格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
第58期(2023年4月1日から2024年3月31日まで)のご報告を申し上げます。

当連結会計年度における世界経済は、アメリカでは金融引き締めの影響を受けながらも、堅調な個人消費に支えられ成長が継続しましたが、中国での不動産市況の悪化等に伴う設備投資の低迷長期化や欧州における経済減速感等、世界経済全体としては力強さに欠ける状況が継続しました。
製造業全体では世界的な需要減を背景に主要生産国や地域で停滞感を示す一方で、当社グループの主要事業領域である自動車の生産・販売は、半導体等の部品不足が緩やかに解消したことにより回復傾向で推移したものの、年度後半において、中国顧客における生産調整、欧州でのEVへの補助金打ち切りなどを背景に減速感が見られました。

このような事業環境の中、当社グループにおいては、車載市場では、インフォテインメント分野での海外顧客との取引拡大や高速伝送対応の新製品の売上増加、xEV(EV、FCHV、PHV、HEV)需要を背景としたパワートレイン分野での増加があったものの、下期より一部地域において成長の減速感が出ました。また、コンシューマー市場での需要減少、インダストリアル市場での設備投資調整も継続しており、売上高は前期比4.5%増の552億7千1百万円に留まりました。

利益面では、為替影響、原材料価格の高騰を収益構造改善の取り組みにより吸収したものの、2024年4月から切り替えを実施した新ERPシステム関連費用や2025年稼働開始予定の秋田工場関連費用等の先行投資の固定費の増加に対し、計画した売上・操業度を確保できなかったことにより、営業利益は前期比14.5%減の59億3千6百万円、経常利益は前期比6.2%減の71億8千9百万円と減益になりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は為替差益により、前期比0.9%増の55億9千3百万円となりました。

次に今後の見通しについて申し上げます。

当社を取り巻く事業環境は、米国を中心とした成長は継続するものの、中国並びに欧州経済にまだ力強さは見られず、中東・ウクライナ等の地政学リスクに加え、各国での大統領選挙における政治リスクの高まり等、景気の先行き感は更に不透明な状況にあります。また、わが国においても同様に、円安に歯止めがかからず燃料や原材料の高止まりまたは高騰リスクや、衆議院解散選挙による政治リスク等、不透明感は増しています。

当社グループに関連する車載(モビリティ)市場は、生産台数の成長鈍化、xEVの成長減速等が懸念されるものの、引き続きxEV並びに自動運転の需要拡大が見込まれます。本年度においては、グローバルでの自動車生産台数は前期比微増に留まりますが、生産台数に占めるPHVやHEVを含めたxEVの構成比は2024年3月期約25%から約30%まで上昇すると見込んでおり、また、電動化、自動運転、車載通信等の発展による高速伝送対応コネクタの需要の増加を見込んでいます。一方で、コンシューマー市場、インダストリアル市場においては、前期に引き続き生産調整が継続し、厳しい環境になると見込んでいます。

以上のような事業環境の中において、当社は車載(モビリティ)市場での高速伝送等インフォテインメントを中心に売上高を拡大するとともに、車載パワートレイン分野での欧米規格対応製品の拡販活動強化、インダストリアル市場での販売チャネル・販売手法見直しを推進し、次なる事業の成長を図ります。営業利益面では、新ERPの償却負担増、秋田新工稼働準備に伴う先行投資等の固定費増はありますが、新ERP稼働により生産効率改善等、現状の固定費削減を推進するとともに、2021年度より推進した収益構造改善プロジェクトの成果創出により、収益の改善を図って参ります。

以上により、2025年3月期の業績見通しにつきましては、連結売上高580億円(対前期比4.9%増)、連結営業利益70億円(対前期比17.9%増)、連結経常利益68億円(対前期比5.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益52億円(対前期比7.0%減)を見込んでおります。為替レートは、145円/ドル、160円/ユーロ、20円/人民元を前提としております。

株主・投資家の皆様におかれましては、今後ともより一層のご支援・ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。

2024年5月
取締役会長 佐藤定雄
代表取締役社長  鈴木 仁